たとえば出張や旅先で、一泊、二泊世話になるホテルに関して言えばあまり立派すぎたり、きらびやかであると、つい気後れしたり肩が凝ってしまった経験はないだろうか。そのホテルに入った瞬間、わが家に帰ったような居心地の良さ、隅々まで清潔感にあふれ、気を使わずに寛げるゆとりある空間。田所さんの経営する9つのビジネスホテルチェーンにはお客様を心からもてなす、そんな大切なハートが熱く息づいている。青葉区中央にある「ホテルグリーンウェル」は常に稼働率100%を誇っているとの事からも、人気のほどがうかがえる。「いまはインターネットで情報が瞬時に広まる時代なので、客室に髪の毛一本でも落ちていてはいけないのです。掃除だけでも300の項目を決めています。出来上がりは必ずフロントの社員がチェックする。質を高めるためにメイクは外注化せず自社で管理しています。その他社員には大工・設備・内装といった専門家たちも大勢いますので、定期的にクロスやカーペットの張替えなど施設を美しく維持する努力や光ファイバーを入れてブロードバンド環境を整えたりと設備の充実化も計っています。」と語る田所さんだ。また最近増えている女性客のために、市内の隠れた名店マップを作成したり、老舗牛タン店と提携したお得な宿泊パック「牛タンパック」も大好評。社員たちのモチベーションも今上昇気流に乗りはじめているという。
仕事も猛烈にするが、遊びも大好き。好きな事が山ほどあり、好奇心が旺盛。何でもやってみないと気が済まないと自らの性格を分析する田所さんだが、その人柄を語る上では若いころからの武勇伝や逸話などには事欠かないらしい。まずその第1は三度の飯より読書好き。5分あったら本を読んでいる。プライベートな時間はどこに行くにも本を離さない。子どもさんの運動会の日ですら本を持参し読んでいたので奥様に呆れられてしまったという。また洩れ聞くところによると、高校時代は実力を持ちながら、本人曰く「勉強はあまり好きでなく」マージャンの腕はプロ級だったらしい。大学時代は旅行会社とタイアップして、学生を集め海外移動セミナーを企画し、1ヵ月間に渡りヨーロッパ中を巡るツアーの実行委員長を二度も体験した。学生起業家のはしりとも言える行動力だ。二度のヨーロッパ旅行でワインとカジノの楽しさを覚え、ワインは今でも年間100本以上は味わう、かなりのワイン通でもある。心ときめく、自分のドキドキ探しに夢中になっていた若かりし頃の話は尽きない。その時代に見つけたり、出会った楽しみが今でも趣味になっている事が数多くあるという。
田所さんが先代である父親から不動産業、旅館業を本格的に受け継いだのは平成8年のこと。それまで勤めた大手不動産会社での経験がビジネスホテルをチェーン化するのに大いに役立っていると語る。仕事では絶対に嘘はつかない。真摯な気持ちを貫いている。共に栄えようという共生の精神を自分自身の理念としている。人を育てることにも情熱を傾ける。今日と同じ仕事はするな。明日は少しでもやり方を変えてゆこうと、常に前向きの人である。