人は長い間には病気になったり、事故に遭うこともある。そんな時の生活保障はどうするか。また退職後の生活は公的年金だけで大丈夫だろうか。公的な健康保険や年金はあるが、安心できる十分な保障を得るには個人での準備も考えなければならない時代になってきた。最近は民間保険会社の保険種類も増え、また共済事業も充実してきて、選択の幅は広くなっている。
全労済の始まりは約50年前。働く人々が自分たちで生活保障を行おうと、大阪で1954年に労働者共済活動として火災共済事業がスタートした。その後各都道府県に共済生協が誕生し、1976年に全国統合して全労済となる。現在は、組合員1390万人、契約高約645兆円、総資産約2兆6550億円を超える安定的な経営基盤を持つまでの組織となった。星秋雄さんは宮城県本部理事長として、共済の更なる普及に努める。「全労済は、1000円の出資金をお支払いいただき組合員になることで、各種共済をご利用になれます。共済は組合員相互の助け合いが基本となっています。私たちの生活を脅かす様々な危険に対し、この助け合いを保険の仕組みを使って行うのが共済事業です。今では『こくみん共済』を始め、『新・総合医療共済』『マイカー共済』『ねんきん共済』などの様々な共済制度を取り揃えています」。
紳士的な顔立ち、穏やかな語り口である。だが、胸の内には強い正義感を秘めているようだ。「私の父は運送会社で事務をしていました。体を酷使しながら一生懸命働いて、42歳の時、心不全で亡くなってしまいました。当時は何の保障もなしです。世の中おかしいな、何とかしなければと思いました」。32歳で労働組合の専従職員となり、青年部で公平、平等を求めて活動してきた。近年、労働者の所得格差の拡大も気にかかる。「企業も正社員の雇用を減らしたり、企業年金として日本版401Kの制度が導入されるなど、一面的な企業の効率が優先されているようです。ですから今後は、正社員の方はもちろんですが、非正規雇用者などにも自分の身を守るための共済を広く推進したいと思っているんです」。
全労済宮城県本部は共済制度以外にも活動の幅を広げている。高齢者の自立生活支援のために、居宅介護支援事業、訪問介護事業を行い、介護保険の申請手続きやホームヘルプサービスなどを提供している。また、社会貢献活動の一つとして、環境問題に取り組む団体を支援する目的に助成活動も手がけている。
組合員の豊かさを目指して新たな事業に奔走する星さんは忙しくなるばかりか?
ストレス解消法を尋ねると「たまにカラオケで歌うことですか」と優しい微笑みで答えてくれた。