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仙台発。大人の情報誌「りらく」顔語り

今野華都子(こんのかつこ)

今野 華都子

今野華都子 - こんの かつこ

タラサ志摩ホテル&リゾート取締役社長 
昭和28年宮城県生まれ。平成10年仙台市青葉区にエステティックサロン「サロン・ド・ノア」を開業。平成15年事業拡張のため移転。「エステルーム・パセオ」に変更。翌年第1回LPG インターナショナルコンテスト(フェイシャル部門)で日本最優秀賞、フランスの審査で最優秀グランプリを受賞。日本エステティック業協会認定講師。日本エステティック業協会インターナショナルエステティシャン。

 仙台から遠く離れた南紀。歴史ある熊野古道を背後に控え、海を臨む風光明媚な地に建つ「タラサ志摩ホテル&リゾート」に今年4月から取締役社長として就任したのは宮城の女性今野華都子さん。丁寧な施術をするエステティシャンとして仙台で信用を築いてきた。関西の高級リゾートホテルの経営者になるというのは、まったく違う世界への華麗な転身のようにも見える。だがご本人はいたって静かに「普通のこと、自分ができる、人としての当たり前のことをしてきただけ」と語る。

  10年前にはまったく思い描いてなかった人生の選択肢だったに違いない。ターニングポイントは主婦からエステの道に入った45歳のときだった。時代はちょうどバブルがはじけた時期、 2人の子どもの学費をつくる必要にも迫られていた。「自分にできることを探していました。ひと並みのことはできても特別な能力は何もない。でも友達が東京でかけてきた睫パーマを見て自分にもできるかも」と駅に近く格安な部屋を借り、 6畳一間から事業がスタートした。たまたま肌荒れに悩んでいた人にパックをして喜んでもらったことをきっかけにいい加減なことはできない、と猛勉強が始まった。短期間のうちに皮膚学やツボ・経絡の本をマスター、通信教育でエステティシャンの資格をとる。「密度の濃さにおいては半端じゃない仕事の量、いつ倒れてもおかしくないくらい四六時中仕事のことを考えていました」と振り返る。

  手狭になった店を平成15年には移転拡大「エステルーム・パセオ」とする。翌年には第 1回 lpg インターナショナルコンテストで日本最優秀賞、次いでフランスで3ヶ月の審査があり、なんと世界百十カ国中第1位の最優秀グランプリを受賞したのである。世界一の栄冠を手にしても今野さん自身も周囲もまったく変わることなく普通にしてきた、というのがすごい。「化粧品の特性を考え、その方の生きてきた背景を知り、一緒に考えてひとりひとりに合った方法を独自に開発したのです。世界一になろうとか特別の目標をもっていたわけではなく、技術は愛情からと思ってケアをしてきましたから」

  自分ひとりで切り盛りするつもりでスタートしたが、店が大きくなるにつれスタッフもふえていく。子育ての経験を生かし、自分の子のように見守りつつ言葉をかける。人は何のために生きてきたのか、なぜ仕事をするのか、どこへ向かって生きていくのか。「会社は自分の能力を高め磨いて、社会に還元する場」という信念のもとに接していくうち、相手も変わっていく。やがてその生き方や考え方が注目を集めるようになり「運命を変える言葉」(致知出版社刊 五日市剛氏との対談集)となった。
 
 昨夏、一回だけのつもりで開いた講演会を聞きにきた人が、この人なら新しくつくるホテルをまかせられると白羽の矢をたてた。何度か打診を受けるうち、ホテル業界にはまったく興味がなかったはずの今野さんだったが引き受けざるを得ない状況になっていく。そのときこれは自分の天命、と思うようになったという。

  「人はみんな幸せにならないといけない。幸せの形はいろいろあるけれど、自分を生かせる場があるということが大切なこと。会社の事業も、売り上げと人の成長が一緒じゃないと」。ホテルの従業員は約200人。社長としてまず始めたのが、ひとりひとりの面談だ。そこからも新たな出会いと物語が始まろうとしている。

 


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